悪玉菌をやっつけて健康にする短鎖脂肪酸を増やすには

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ヒトの腸内には、菌数にして100兆個以上、1000種以上もの腸内細菌が棲息するといわれていますが、乳酸菌やビフィズス菌などの善玉菌の働きで、食物繊維やオリゴ糖を発酵して新たに短鎖脂肪酸を作ります。

この短鎖脂肪酸には、私たちの健康にとってさまざまな働きをしてくれることで最近テレビなどでも注目を集めているのです。

短鎖脂肪酸とはいったい何?

短鎖脂肪酸はヒトの大腸内で腸内細菌によって作られる有機酸の一種で、具体的には酢酸、プロピオン酸、酪酸などの種類があります。

この腸内で作られる短鎖脂肪酸には、私たちの腸を元気にしてくれる働きがあることがいろいろとわかってきました。つまり、腸の中で有益な腸内細菌を増やせば、短鎖脂肪酸が増加し、腸から体全体を元気にしてくれるのです。短鎖脂肪酸には、以下のような働きがあります。

◎悪玉菌を抑える「殺菌・静菌作用」

腸内では、体に良い働きをする善玉菌と、逆の作用をする悪玉菌が常に勢力争いをしています。短鎖脂肪酸は、腸内を適度な酸性に保ち善玉菌を応援すると共に、悪玉菌をやっつけることができます。

特に、短鎖脂肪酸の中でも、酢酸には悪玉菌を退治する殺菌作用や、増殖を抑える静菌作用があることで知られています。乳酸菌などの善玉菌を腸内で増やせば、生成される短鎖脂肪酸もそれだけ増加し、腸から体全体を元気にしてくれるのです。

◎ウイルスや病原菌から体を守る「腸管バリア機能」

私たちの腸の表面の広さはテニスコート1面分にも相当するそうです。このように広い腸表面は、食事とともに取り込まれるウイルスや、病原菌による感染や炎症の危険といつも隣り合わせにあります。しかし、だからといって私たちは簡単には感染を起こすことはありません。それは腸の粘膜が病原体の侵入を防ぐ腸管バリア機能を持っているからです。

短鎖脂肪酸の中でも酪酸やプロピオン酸には、元気な腸粘膜を維持して、腸のバリア機能を高める免疫効果があります。

◎大腸がんの予防や脂肪燃焼効果にも

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食事の欧米化に伴い、がんの中でも大腸がんによる死亡率が増加しており、女性は死亡要因の第1位、男性は第3位になっています。短鎖脂肪酸の中でも特に酪酸には、腸内環境を酸性に保つことで発がん物質を生成する悪玉菌の繁殖を抑えることが認められ、動物試験の結果、大腸がんの予防効果も確認されています。

また、短鎖脂肪酸には、脂肪の取り込みを抑制して肥満を解消させたり、筋肉に働きかけて脂肪を燃焼させる働きも認められています。

短鎖脂肪酸を増やすには善玉菌+水溶性食物繊維

このようにさまざまな健康効果を持つ短鎖脂肪酸ですが、腸内で短鎖脂肪酸を増やすためには食物繊維を豊富に含む食品を摂って、もともと体内にいる腸内細菌に発酵分解してもらって作るのが一番早い方法です。便秘や下痢の症状などを持ち、腸の調子がいまひとつという人も、乳酸菌などの善玉菌を毎日積極的に摂ることで短鎖脂肪酸は増えていきます。

しかし、善玉菌にもいろいろ種類があり、胃を通過する際に胃酸や胆汁酸に負けて死滅してしまうものもあります。ヨーグルトであれば1日200g程度を目安に毎日継続的に食べるのがおすすめですが、脂質や糖質が気になる人は乳酸菌のサプリメントなどで補うのも一つの手です。重要なのは、腸まで生きて届いて、短鎖脂肪酸を生成するように働いてくれる善玉菌を選ぶことです。

食物繊維を摂ってから短鎖脂肪酸を摂取するまでには、以下のような道筋となっています。

食物繊維(水溶性食物繊維)を摂る

消化されずに大腸へ行く

腸内細菌が発酵分解してくれる

腸内で短鎖脂肪酸が生成される

短鎖脂肪酸を摂取したことになる

食物繊維はヒトの消化酵素では消化されない難消化性成分のため、消化されずにそのまま小腸を通り抜けて大腸へと運ばれます。食物繊維のうち、水に溶ける性質を持つ水溶性食物繊維が大腸の腸内細菌に発酵分解されて、短鎖脂肪酸が生成されます。

腸内細菌が水溶性食物繊維を短鎖脂肪酸に分解

ここで重要になるのが、食物繊維のタイプです。食物繊維には不溶性食物繊維と水溶性食物繊維があります。これまでは、便秘の解消や予防としての食物繊維は「不溶性食物繊維」を指すことが多かったのではないでしょうか。

不溶性食物繊維は摂取すると、水分に溶けず水分を吸収して膨張することによって、便のかさを増やします。かさが増えた便を、大腸のぜん動運動が押し出すことにより老廃物や毒素を体外に排出されるので、便秘解消に良いとされています。

しかし、短鎖脂肪酸が作るために必要な食物繊維は、「水溶性食物繊維」の方になります。水溶性食物繊維は腸内で善玉菌を増やして腸内環境を改善させるのとともに、大腸で発酵分解することで短鎖脂肪酸が作られ、さらに腸壁から95%以上吸収されて、生体機能の調節をしてくれることが、最近の研究でわかってきたのです。

短鎖脂肪酸を増やす食品とは

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短鎖脂肪酸を増やすには、わかめや昆布などの海藻類、りんご、バナナなど果物に含まれている水溶性食物繊維が効果的です。大麦やオートミールなどの穀類、大豆類、きのこ類のほか、黒酢、酢、梅干し、ピクルス、酢の物、らっきょう、漬物、キムチ、チーズ、納豆などの発酵食品も、短鎖脂肪酸を増やしてくれます。これらの食品は、血液をサラサラにする効果もあります。

食品から直接、短鎖脂肪酸を摂るのは難しい

短鎖脂肪酸は腸内細菌を介して間接的に摂取する流れであることはおわかりいただけたと思いますが、では食品からダイレクトに短鎖脂肪酸を摂ることはできないのでしょうか?

方法はあります。短鎖脂肪酸は、酢、バター、梅干しなどから直接摂取することはできます。しかし、お酢もバターも梅干しも毎日大量に摂らないといけないことから、継続は難しいのではないでしょうか。大量に摂取したらむしろ体に悪いと思われます。

このように短鎖脂肪酸は、食品からダイレクトに大量摂取することは難しいことから、水溶性食物繊維を材料に、腸内細菌に発酵生成してもらうことが一番の早道になるわけです。

いかがでしたか。悪玉菌をやっつけて腸内環境を整えてくれたり、脂肪燃焼や免疫効果などで注目を集めている短鎖脂肪酸は、食事をちょっと見直すだけですぐに、効率良く作り出すことができます。ぜひ実践してみてください。

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