ロイテリ菌はこども専用なの?大人にも働く4つの効果

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乳児の夜泣きの原因のひとつが、「乳児疝痛(せんつう)」と呼ばれる臓器の痛みであることがわかり、それを解決する手段として、ロイテリ菌が有効であることは、以前にこのコラムでもご紹介しました。

ロイテリ菌は母乳由来の乳酸菌であるというイメージから、乳幼児向きの乳酸菌であると思われがちですが、実は大人にもいろいろと有用な働きを持っていることがわかりました。そこで今回は、大人にも役に立つロイテリ菌の効果についてご紹介します。

ロイテリ菌とは?

学術名はラクトバチルス・ロイテリ菌。哺乳類や鳥類など広範囲の種が持つ乳酸菌で、食品では肉や乳製品から摂取することができます。長くその存在は知られていましたが、1960年代にドイツの微生物学者ゲルハルト・ロイター博士が正式に分類。博士の名前にちなみ「ロイテリ菌」と命名されました。

ロイテリ菌は一般的な善玉菌が持っている長所を全て持っているだけでなく、ロイテリンと呼ばれる天然の抗菌物質をつくって悪玉菌やウィルス等の増殖を抑える力を持っています。ロイテリンはロイテリ菌が代謝の過程で産生する物質で、有益な腸内細菌に影響を与えず有害な物質だけを排除してくれるのです。

ロイテリ菌についてはこちらもご覧ください

http://lvw.co.jp/nyusankin_lab/column/%e3%83%ad%e3%82%a4%e3%83%86%e3%83%aa%e8%8f%8c%e3%80%9c%e8%b5%a4%e3%82%93%e5%9d%8a%e3%81%ae%e5%a4%9c%e6%b3%a3%e3%81%8d%e3%80%81%e5%8e%9f%e5%9b%a0%e3%81%af%e8%85%b8%e5%86%85%e7%b4%b0%e8%8f%8c%ef%bc%81

脂を食べてくれる!?ロイテリ菌

ロイテリ菌は何らかの栄養分を摂って生きています。では、何を食べているのでしょうか。それは、ズバリ中性脂肪です。

もう少しくわしく説明すると、私たちが普通に食べている食品に含まれる脂質の90%以上が脂肪です。脂肪とは脂肪酸とグリセリンが特殊な結合をしたもので、アシルグリセロールと呼ばれます。

アシルグリセロールは脂肪酸の分子の結合数により性質が変わり、1分子が結合したものをモノアシルグリセロール、2分子のものがジアシルグリセロール、3分子のものがトリアシルグリセロールです。このトリアシルグリセロールが一般的に中性脂肪と呼ばれているものです。ちなみにジアシルグリセロールは特定保健用食品に指定されるクッキングオイルなどに用いられています。

ロイテリ菌は中性脂肪であるトリアシルグリセロールを好んで食べるので、中性脂肪の増加が原因となる心筋梗塞や脳梗塞などの動脈硬化性疾患の発症リスクを下げてくれます。

また、それらの効果は直接的には、体重増加の抑制となって現れます。ラットを用いた実験では、栄養価の高いエサと一緒にロイテリ菌を与えたラットは、ロイテリ菌を与えないラットと比較して、体重の増加が23%抑制されたそうです。

炎症も抑えてくれる

体内に中性脂肪が溜まるということに関連して、ロイテリ菌はもう1つの重要な役割を果たしています。それは炎症を抑える作用です。みなさんは脂肪と炎症には大きな関係があると聞くと驚かれるのではないでしょうか?

中性脂肪が体内で蓄積されるのは脂肪細胞という場所になります。脂肪細胞は3倍程度まで膨張することができ、それだけ余分に中性脂肪を溜められるようになっていますが、それが人体に悪影響を及ぼすことになるのです。肥大した脂肪細胞はサイトカインというたんぱく質を過剰に分泌します。サイトカインは生体防御機能のひとつですが、炎症を促進させる性質を持ちます。

炎症と聞くと、肌の傷つけたところがヒリヒリ痛んだり、胃などがシクシク痛んだりを連想するかと思いますが、痛みとは人体に不具合があることを知らせる危険信号のようなもので、それも生体の持つ防御機能のひとつです。

しかしサイトカインが過剰分泌されることで、体の各部に炎症を起こし、それがさまざまな病気の原因になっていると考えられているのです。具体的には、アレルギーや糖尿病、ガン、アルツハイマーなどが体内にひそむ炎症の作用によるものだそうです。

ロイテリ菌はアトピー性皮膚炎の抑制作用の研究を通して、サイトカイン産生を良い方向に調整することが確認されています。体内の各部で起こる炎症は溜まりすぎた中性脂肪が遠因になっています。ロイテリ菌はその中性脂肪を栄養にして育ち、それでも処理が間に合わず脂肪細胞内に溜まった中性脂肪が過剰分泌させるサイトカインを調整する働きを持っているのです。ロイテリ菌が大人にも有用である大きな理由は、この抗炎症作用にあるのです。

口内の有害菌の繁殖も阻止

もうひとつ、ロイテリ菌の有用性は、悪玉菌やウィルスなどの有害菌の繁殖を抑制する、天然抗菌物質ロイテリンを産生する点にもあります。

乳酸菌類には腸内に届いてからいろいろと活動を始めるイメージがありますが、ロイテリ菌の場合は口に入った瞬間から働き始めているというのが大きな特長です。

ロイテリ菌はだ液や口腔内の糖分で活性化し、中性脂肪をエサにロイテリンを作りだします。だ液には1ccあたり10億~100億の細菌が生息し、当然、有害菌も数多く含まれています。ロイテリンの抗菌作用で、歯周病菌や虫歯菌などの増殖を抑制してくれるのです。

口は食道から胃、腸へとつながっています。人体に必要な栄養素だけでなく有害な物質の多くが口から入ってくるということです。腸の免疫機能が高いのも、口を通して外気と直接つながっているからだと考えられています。人体の健康は口から始まるといっても言い過ぎではありません。

最近では口腔内の細菌は単に虫歯や歯周病だけでなく心疾患や生活習慣病などにも深い因果関係があるといわれています。高齢者が特に注意したい誤嚥性(ごえんせい)肺炎もそのひとつですし、胃潰瘍や胃ガンの原因となるピロリ菌、カンジダ菌も口腔内に多く存在していますが、ロイテリ菌が生み出す抗菌物質ロイテリンがこれらをスッキリ撃退してくれるというわけです。

原因不明の胃腸の痛みにも!

ロイテリ菌は乳酸菌なので、もっとも基本的な働きである整腸作用は当然持っています。便秘や下痢症状などの改善効果もありますが、特筆すべきは「機能性胃腸症」にも効果を発揮するという点です。

機能性胃腸症とは、特定の原因が見当たらないのに、胃腸の痛みやもたれ、胸やけ、腹部膨満などを生じる症状です。一見して胃炎と間違われる症状ですが、ストレスや過労が原因とも言われ、内科よりも心療内科の受診を勧められることもあるようです。理由もなく胃腸がシクシク痛んだり、おなかが張ったように感じたりするのが長期間続く場合は、機能性胃腸症の可能性もあります。

このような直接的には胃や腸の機能低下とも関係ない、過剰なストレスが原因と考えられる症状に対してもロイテリ菌の有効性が示されています。つまり、仕事や人間関係などストレスにさらされる毎日を送っている大人にこそ必要な乳酸菌が、ロイテリ菌というわけです。

ロイテリ菌は乳児の夜泣きを解消してくれるということで、赤ん坊に向いた乳酸菌と誤解されがちですが、実は大人も摂りたい乳酸菌であることがお分かりいただけたでしょうか。中性脂肪の増加とそれによる体内の炎症、口腔内の有害菌の増殖、ストレス増加による胃腸の痛みなど、どれも大人の健康に直結する問題なのです。

しかしロイテリ菌は母乳や肉、乳製品に含まれることから、本来ならば人の体に常在している乳酸菌です。その機能が存分に発揮されていないのは、つまりは腸内環境が整っていない証拠とも言えます。日ごろの「腸活・菌活」でしっかりと腸内バランスを整えることが何よりも大切です。

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