体調不良のシニア女性高齢者を在宅介護している際に、介護施設に比べて不安が大きい点のひとつは、容体の急変等の場合に、気づくのが遅れる恐れがあることです。

さらに、高齢になると、状況が深刻になるまで自覚症状が出にくい場合もあり、さらに認知症の要素も加わると、周囲の者が常に気をつけていないと、手遅れになってしまう危険性すらあります。

特に気温が高くなる夏場は、喉を乾きを覚えにくいお年寄りは熱中症になったり、最悪の場合は脱水症状から脳梗塞へとつながったりする恐れもあります。

ある高齢女性の異変に気づく

私の隣家の98歳の女性Aさんの場合、朝、昼、夕方と、1日三回の訪問介護を受けていましたが、仕事を持つ娘さんに頼まれて、私は午後2時ごろに、おやつを出すついでに様子を見るために顔を出していました。

ある真夏の猛暑の日のことでした。外の気温が40度近くになっていましたので、昼に訪れたヘルパーさんが冷房を強くし過ぎていないかが気になって、私はいつもより少し早めにAさんの様子を見にいきました。

すると、Aさんは、ときどき咳き込んでいました。

本人に具合を尋ねると、大丈夫と答えましたが、以前に重症の肺炎になっていた際も、「何とも無い。病院に連れていってくれなくてもいい」と言い張っていたことがありましたので、念のために体温を測りました。

すると、38度以上もの高熱となっていました。

明治生まれのAさんは、女手ひとつで子供達を育て上げた苦労人で、弱音を吐かない女性でしたが、高齢によって自覚症状も多少出にくくなっているようでした。

私は急いで救急車を呼びました。そして到着するあいだに、入院に備えて、数日分の着替え、病室用の靴、入れ歯と洗浄剤など、とりあえず思いつくままの物を急いで大きな紙袋に詰め込みました。

やがて救急隊員が来て、Aさんの状態を確認するために本人に話しかけて、名前と年齢を尋ねたりしていましたが、Aさんは平然と答え、「すみませんねえ」と恐縮していました。

そしてAさんをストレッチャーで救急隊員が車まで搬送し、私も一緒に救急車に乗り込み、車はサイレンを鳴らしながら出発しました。

車内で隊員のひとりがAさんの体温を再び測り、非常に高いことに驚いて、「このくらい高齢の人の場合は、37度を超えた時点でご家族は救急車を呼んでください!」と強く注意されました。

それから私はとり急ぎ、娘さんに携帯電話で連絡をして、救急車で病院に向かっている旨を伝えました。

熱中症と見分けにくい誤嚥(ごえん)性肺炎

救急病院へ着くと、急患専用の待合室へ導かれましたが、そこには急患には見えないような若い人たちも結構多く並んでいました。

そしてAさんの番が来て、診察を受けた結果、なんと「誤嚥(ごえん)性肺炎による発熱」であることがわかり、数日間の入院となりました。

私は家族の代わりに入院手続きを済ませ、再び娘さんに電話で結果を伝え、彼女は他の必要品を取りに自宅にいったん戻ってから、病院へ来ることになりました。

この出来事から私が学んだのは、高齢者の場合はどんなに気をつけていても多少の誤嚥は起こってしまうもので、それが蓄積すると高熱をともなう肺炎を起こしてしまうことでした。

それは夏場の場合等は、熱中症等と区別がつきにくく、素人判断は禁物であるということでした。

そして往々にして高齢者の体調の変化は急に起こるもので、家族はそれなりの準備をしておく必要があることです。

救急車と救急隊員のクレイ人形

 

救急車に同伴する際の意外な注意点

それから、これは私もうっかりしていたことでしたが救急車で一緒に病院に向かう場合、付き添いの者は、帰宅の際は電車等の公共交通機関を利用しなければいけないことです。

私は当日は、猛暑の昼間であったこともあり、白いTシャツと白い短パン姿という、きわめてカジュアルな服装でしたので、病院に着いたときは介護ヘルパーと勘違いされましたが、このような格好で電車に乗って帰るのは、かなり恥ずかしいものでした。

容体が急変しやすい高齢者の介護には、「備えあって憂いなし」の心構えと服装を忘れずにしておいてください。

ライター/エンジェル