旅行バスの車内親が高齢になったり、介護を要するようになったりしても、旅のやり方や内容を工夫することで、一緒に旅行を楽しむ方法はいろいろあります。

一人暮らしをしていた母は、91歳の時に自宅で転んで大腿骨を骨折、病院に入院して手術をしたのを機に我が家に移り住みました。

骨折入院する2週間前の北海道旅行、その次の沖縄旅行を含め90台の母と私は6回ほど一緒に旅行を楽しみました。

それらの体験を通して、高齢者を伴う旅行で気がついたことを書いてみます。

91歳の母と団体ツアーに参加

4泊5日の北海道団体ツアーに母を連れて参加したのは、骨折をする2週間前。

母が若い頃、北海道に行ってみたいと何度か言っていたのが、何故か急に思い出され実現させました。

私にとって母を連れての団体旅行は初めてで、申し込みをする際に旅行会社が母の年齢で受け入れてもらえるか不安でしたが、特に何も言われませんでした。

当時の母は、杖もつかず歩いていたので、歩行に関して私は不安を感じていなかったのですが、実際に旅が始まってみると、母は意外なほど歩く力が衰えていました。

母に適していた見学箇所の少ないツアー内容

参加したツアーは広大な北海道をいろいろまわるもので、車窓から景色を眺めている時間が多かったのは母にとって幸いでした。

見学場所に着いても疲れていればバスに残るのも、停留場の近くで休憩しているのも可能で、母のペースで旅を楽しめたからです。

決められたトイレ休憩タイムの回数だけで、母に不都合はありませんでしたが、お手洗いが特に近かったりすると団体旅行は本人には厳しかったかと思います。

お気に入りの観光名所を歩けなかった母

残念だったことがあります。

いけばな一筋の人生を歩んだ母は、きれいな花を眺めるのが大好き。

ある自然公園では各種の花が真っ盛りで、母にとってはハイライトとも呼べる場所だったのに、到着すると歩きたくないからベンチに座っていると言い出したのです。

待っているから公園を回って来ていいわよと私に言いました。

結局私だけ早足で一巡したのですが、今思うと、公園には車椅子も設置されていたかもしれません。

当時の私は、そうしたことに気が回らず、公園に確認もしませんでした。

ツアーの添乗員はそうした点に関して、道中アドバイスすることはありませんでした。

母は北海道旅行を喜んでくれましたが、大きな問題も無く旅を楽しめたのは本当にラッキーだったと、その後介護生活を始めてからは思いました。

介護が始まり母と沖縄旅行

その7ヵ月後のお正月、私は娘と一緒に母を3泊4日で沖縄に連れて行きました。

我が家に同居をした直後、肺炎で入院、入院中に末期の大腸がんが見つかり手術。

11月初旬に退院した折には、医師から癌をすべて取り去ることが出来なかったので余命にも影響するだろうと言われました。

母の環境や体調が大きく変化した日々の中で、私は母を元気づけたくて、沖縄の旅を決断したのでした。

癌の手術を担当した医師は「親孝行をしてあげなさい」と私の気持ちを後押ししてくれました。

車椅子で快適な旅行

北海道の旅とは、母の状況が一転していたので、事前の私の不安は高くなりました。

車椅子は持参した方が良いかと調べてみると、空港やホテルなどでは高齢者向けのサービスがいろいろあるのが分かりました。

空港では車椅子が利用できるし、飛行機には優先的に搭乗できます。

ホテルで車椅子を借り、レンンタカーに車椅子を積んで観光地を訪れると、一般の駐車場が満車であっても係員が車内の車椅子に気付いて誘導してくれました。

観光客が入場待ちをしているところでは、スタッフが母の車椅子を押して、一般とは別のルートで見学させてくれたりして、楽しい思い出が沢山できました。

老親との旅行に伴うリスク

介護が進んでも、旅に連れて行ってあげようと私は思いましたが、大きなリスクが伴うことにも気がつきました。

旅行に出かける元日の朝、母の部屋に迎えに行くと、部屋で転んで身体が痛いから行かないと言うのです。

幸い怪我はしていなかったので出かけられましたが、高齢者を旅行に連れて行くとなると、不測の事態で飛行機やホテルをキャンセルすることも起こりえます。

この体験から、その後の母の旅は車で行ける範囲となりました。万が一の時は、宿だけのキャンセルで済むからです。

要介護3のうちに。次第に無理となっていく旅行

我が家に移り住んだ当初の母は要介護3で、5年に及ぶ在宅介護の中で最後はベッドに寝たきりの要介護5になりました。

旅行に連れて行けたのは、要介護3の頃迄でした。

母の認知症が進み、車椅子の散歩でも自宅から離れると不安を訴えるようになったので、旅行に行くのはもう無理と私も次第に自覚したのでした。

親の最晩年を楽しいものに

大腿骨を骨折したあとも、温泉では手すりにつかまれば楽に歩けると、母は旅行を喜んでいました。

旅行を通して私は晩年の母と楽しい思い出をいくつも共有することが出来ました。

介護をしながらでもできる旅行はありますので、情報を調べ工夫しながら、ご一緒に幸せな時を過ごして下さい。

ライター/auntysunflower