ラクリス-Sは1949年山梨大学の中山大樹博士が緑麦芽(発芽した大麦で多くの酵素を含む)から「胞子を形成し、そのために安定性が良く、耐熱性、耐酸性にもすぐれ、また、好気性で、長官内で発芽増殖することができ、乳酸生成能力も良い」という乳酸菌を分離した菌です。

この乳酸菌は「有胞子性乳酸菌」と呼ばれます。

普通の乳酸菌は感想や熱、酸に弱く、また腸内有用菌の代表といわれるビフィズス菌は嫌気状態でないと死滅しやすく、生きたままで食品に利用することは大変難しいといわれています。

一方、有胞子製乳酸菌は一定の条件下で感想にも、熱や酸にも非常に強く、その上、腸内や適温の牛乳中などでは発芽して活発に増殖します。

ラクリス-Sの特徴

耐熱性に優れる

一般の乳酸菌は70℃でほとんど死滅しますが、ラクリスは生理食塩水中で85℃30分の加熱処理後も菌数の低下はほとんどありません。(Fig,1)

耐熱試験のグラフ

耐酸性、耐糖性、耐塩性に優れる

また、クエン酸0.3%の液体ストレートジュースに添加した安定性試験では菌数低下はありません。10%のクエン酸でも安定です。(Fig,2)

pH2.0の人工胃液中でも通常の作用時間内(3時間)で安定です。(Fig,3)

他の乳酸菌でも胃酸に強いといわれている菌はありますが、試験内容がpH3.0ぐらいが多く、pH2.0での残存率は他の乳酸菌に比べても圧倒的に強いです。(胃の中は空腹で通常pH1~2)

したがって口から入ったラクリスは胃酸や胆汁で死滅することなく、そのほとんどが腸管内に達することになります。

クエン酸と人工胃液の生存率のグラフ

 

腸管内の増殖・定着性に優れる

ラクリスの胞子は、腸管内(十二指腸・回腸・直腸)で発芽し、活発な生活細胞となり、繁殖、定着します。乳酸生成率は90%以上で、精製速度は比較的緩やかですが、長時間にわたり増加し続けるのが特徴です。

その結果、腸内は常在菌であるビフィズス菌をはじめとする乳酸菌が増殖しやすい環境となります。有胞子性乳酸菌の摂取を中止すると、約1週間で減少し排泄されます。

また有胞子性乳酸菌に関する研究も広く行われています。

 スギ花粉症に対する効果 目のかゆみ、鼻水を抑える

花粉症の治療には抗アレルギー剤、抗ヒスタミン剤、ステロイド剤などの薬物治療が行われますが、副作用の可能性や通院が長期間に及ぶなどの問題点があります。

最近では、乳酸菌はもちろんのことポリフェノール類やヌクレオチドなどの食品成分から人間本来の免疫機能でアレルギー作用を抑えることが研究されています。

試験内容

20~65才の健常な男女で、スギ花粉症を持つ58名にラクリス-Sを4億個入ったカプセルとプラセボを摂取するグループにわけ1日1回摂取してもらい、8週間後医師の管理のもと、自覚症状、鼻腔検査、血液検査、身体測定を行いました。

なお検査期間は2月5日~4月1日までで、その年のスギ花粉の飛散量のピークは3月20日ごろでした。

結果

目のかゆみ、鼻水ではラクリス-Sの摂取したグループでは優位に改善しました。

しかし、花粉の飛散がピークの時には両方のグループで症状は悪化したため、4億個だけでは十分な効果が得られなかったと考察されています。

このような傾向は、軽症アレルギー性鼻炎患者に用いられている抗ヒスタミン剤や抗アレルギー剤においてもみられる現象ですので、花粉の量に応じて用量を増やす必要があるのではと推察されています。

便性改善効果についての研究

試験内容

健康な成人女性28名に1日1億個を2週間摂取してもらい、摂取前2週間、摂取中2週間、摂取後2週間の便に対してのアンケートをおこないました。

結果
便の色

健康なひとの便の色は山吹色から茶色とされています。

その出現率を上記の期間で調査したところ、18名中12名が健康な便の色が出現回数増加したひとは12人増え、有効率は67%を示しました。(もとから健全な人は除く18名中)

便の形状

健康なひとの便の形状はバナナ状、又は半練状とされています。

その出現率を上記期間で調査したところ、24名中15名が健康な便の形状の出現回数が増え、有効率は63%を示しました。

 排便回数

便秘によって腸内に老廃物を溜めることは、腹痛やおなかの張りだけでなく体調不良や皮膚病の要因になるともいわれます。

摂取前と摂取後の排便回数を調査したところ、28名中19名がが排便回数が増加し、有効率は68%を示しました。

便の臭い

被験者の便の臭いを3段階(薄い、普通、強い)で集計し、においの薄い便の出現率を調査したところ、においの薄い便が出現したのは28名中10名でした。

これは排便回数の増加で腸内の老廃物が排出されたことと関係すると思われます。

腸内フローラ改善効果について

別の試験では18名の健康な成人女性18名を3グループにわけそれぞれラクリス-Sを

  • 0.2億個/日
  • 1.0億個/日
  • 2.0億個/日

摂取するグループに分け、腸内細菌の検索、pH値の測定、便のアンモニア量、便の水分含量をそれぞれ調べました。

その結果、腸内細菌では善玉菌のビフィドバクテリウム(Bifigobacterium、ビフィズス菌)の割合が増え、悪玉菌のBacteroidaceae(バクテロイデス)、Clostoridia(クロストリジウム)の割合が摂取中は減少傾向を示し、腸内フローラの改善効果が示唆されました。

また、便のpHは腸内細菌による糖の発酵が盛んな場合は酸性になり、たんぱく質の腐敗が盛んでアンモニアやアミンが産生されるとアルカリ性になりますが、腸内の場欄がやや不調と考えられる被験者のpHが酸性傾向を示し、アンモニア含有量も低下傾向を示しました。

便の水分量に関してはいずれも摂取前の水分量が70%以下だったのに対し、摂取中は便水分の正常域である70~80%になりました。

まとめ

以上の研究結果から、ラクリス-Sは腸内環境を改善し、アレルギー効果、整腸効果が期待できます。

ラクリス-Sは冒頭でも説明したとおり、緑麦芽から分離された乳酸菌で日本人とは古くから関わっている乳酸菌だと考えられています。

ですので、日本人に合いやすい乳酸菌だといえます。

菌活・腸活ラボ

ラクリス-Sについての驚きの研究結果

Progress in Medicine Vol.17 No.12 3299(1997)

タイトル 著者 雑誌名
有胞子性乳酸菌(Bacillus coagulans)による便性改善効果についての研究 飯野久和、松本由果、伊藤美香、阿部忍、菅浦敏夫
有胞子性乳酸菌(Bacillus coagulans)によるヒト腸内菌叢改善効果についての研究 飯野久和、松本由果、伊藤美香、阿部忍、菅浦敏夫 Progress in Medicine Vol.17 No.12 3303(1997)
有胞子性乳酸菌(Bacillus coagulans SANK70258)のスギ花粉症に対する有用性の検討 梶本修身、諏訪桃子、高橋洋介、内田典芳、端山昌樹、田村学、中川聡史、梶本佳孝 新薬と臨床 54巻11号(2005)

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